介護保険法施行法案要綱

【第一 経過措置に関する事項】

(一) 居宅介護サービス費等支給限度基準額等に関する経過措置

 1 居宅介護サービス費等支給限度基準額に関する経過措置

  (1) 市町村及び特別区(以下単に市町村という。)は、当該市町村が行う
   介護保険の保険給付に係る居宅サービス等の必要量の見込み、当該居宅
   サービス等を提供する体制の確保の状況等を考慮して特に必要と認める
   場合においては、政令で定める日までの間は、介護保険法に規定する法
   定居宅居宅給付支給限度基準額に代えて、それぞれの額を下回る額を、
   当該市町村における経過的居宅給付支給限度基準額とすることができる
   こと。
  (2) (1) の政令で定める日を指定するに当たっては、介護保険法の施行の
   日(以下「施行日」という。)から起算して五年を経過日以後の日で、
   経過的居宅給付支給限度基準額を定める市町村の市町村介護保険事業計
   画及びその市町村を区域内に含む都道府県が定める都道府県介護保険事
   業支援計画の達成状況等を考慮して、法定居宅給付支給限度基準額に基
   づく介護給付等を円滑に行うことができると認められる日を選定するも
   のとすること。

 2 市町村、都道府県及び国の措置等

   (1) 1の(2) の市町村は、市町村介護保険事業計画に定められた方策そ
    の他の介護給付等対象サービスを提供する体制の確保に必要な措置を
    講ずるよう努めるものとすること。
   (2) 都道府県は、1の(2) の市町村に対して都道府県介護保険事業支援
    計画に基づきその支援に必要な施策を実施するよう努めるものとする
    こと。
   (3) 国は、1の)2) の市町村及び都道府県に対し、(1) 及び(2) に規定
    する措置等に関し必要な助言、指導その他の措置を講ずるよう努める
    ものとすること。

(二) 指定居宅サービス事業者に関する経過措置

 介護保険法の施行の際現に改正前の老人保健法に規定する指定老人訪問看護
事業者であるものについて、介護保健法の居宅サービスに係る指定があったも
のとみなす等所要の経過措置を設けること。

(三) 介護保健施設に関する経過措置

 1 指定介護老人福祉施設及び介護老人保健施設に関する経過措置

  介護保険法の施行の際現に存する特別養護老人ホーム、老人保健施設のそ
 れぞれについて、介護保険法の介護老人福祉施設の指定、介護老人保健施設
 の許可等がそれぞれあったものとみなす等所要の経過措置を設けること。

 2 介護療養型医療施設に関する経過措置

  介護療養型医療施設については、施行日から起算して三年を越えない範囲
 内において政令で定める日までの間は、要介護者の心身の特性に応じた適切
 な看護が行われるものとして政令で定める病院をも対象とすること。

(四) 適用除外に関する経過措置

 当分の間、身体障害者福祉法の規定により身体障害者療護施設に入所してい
る者その他特別の理由がある者で厚生省令で定める者は、介護保保険の被保険
者としないこと.

(五) 特別養護老人ホームの旧措置入所者に関する経過措置

 施行日において特別養護老人ホームに入所している改正前の老人福祉法の措
置に係る者ニついては、施行日以後引き続き当該特別養護老人ホームに入所し
ている間は、当該措置をとった市町村が行う介護保険の被保険者とするととも
に、施行日から起算して五年間に限り、施設介護サービス費を支給すること。

(六) 施行のために必要な準備

 1 厚生大臣は、介護保険法に基づく制度に関する重要事項等を定めようと
  するときは、施行日前において介護保件法に規定する政令で定める審議会
  に諮問等を行うことができること。

 2 施行日の属する年度における保険料の特別徴収について、所要の事前準
  備規定を設けること。

 3 1及び2に規定するもののほか、介護保険法及びこの法律を施行するた
  めに必要な条例の制定又は改正、要介護認定の手続等の行為は、施行日前
  において行うことができること。

(七) その他

 1 介護保険法及びこの法律の施行前にした行為等に対する罰則の適用につ
  いては、なお従前の例によること。

 2 この法律に規定するもののほか、介護保険法の施行に伴い必要な経過措
  置は、政令で定めること。

【第二 関係法律の一部改正に関する事項】

(一)老人福祉法の一部改正

 1 事業及び施設に関する事項

   (1) 老人居宅生活支援事業及び特別養護老人ホームに係る規定つわ整理
    すること。

   (2) 痴呆対応型老人共同生活援助事業(痴呆性老人向けグループホーム)
    を老人居宅生活支援事業に位置付けること。

 2 福祉の措置に関する事項

   (1) 市町村は、過誤保険の対象となるサービス等の連携、調整を図るな
    ど、地域の実情に応じた支援体制の整備に努めること。

   (2) 要介護老人がやむを得ない事由により介護保険法に規定するサービ
    スを利用することが著しく困難であると認めるときは、市町村は、居
    宅における介護、特別養護老人ホームへの入所の措置を採ること。

 3 老人福祉計画に関する事項

  市町村及び都道府県の老人福祉計画に関する規定を介護保険法の内容に沿
 って整理すること。

 4 費用に関する事項

  2の(2) の措置に係る者が、介護保険法の規定により当該措置に相当する
 保険給付を受けることができる者であるときは、市町村は、その限度におい
 て費用を支弁することを要しないこと。

(二) 老人保健法の一部改正

 1 指定老人訪問看護事業者、老人保健施設及び老人保健施設療養費に関す
  る規定を整理すること。

 2 介護保険の給付と老人保健法に基づく医療給付の調整に関する規定を置
  くこと。

 3 市町村及び都道府県の老人保健計画に関する規定を介護保険法の内容に
  沿って整理すること。

(三) 健康保険法の一部改正

 1 保険料の徴収目的として介護納付金の納付に要する費用を加え、介護納
  付金の納付に要する費用に充てるための保険料は、介護保険の第二号保険
  者である被保険者について賦課すること。

 2 保険料額は、次の区分に従い、それぞれに規定する額とすること。

   (1) 介護保険法の第二号被保険者である被保険者 一般保険料額(被保
    険者の標準報酬月額に一般保険料率を乗じて得た額)と介護保険料額
    (被保険者の標準報酬月額に介護保険料率を乗じて得た額)との合算
    額
   (2) (1) 以外の被保険者 一般保険料額

 3 政府管掌健康保険に係る介護納付金の納付に要する費用について、国庫
  補助の対象とすること。

 4 (二)の2と同様に、介護保険の給付と健康保険の給付の調整に関する
  規定を置くこと。

(四) 船員保険法の一部改正

  健康保険法の改正に準じた改正を行うこと。

(五) 国民健康保険法の一部改正

 1 保険料等に関する事項

   (1) 保険料の徴収目的として介護納付金の納付に要する費用を加え、介
    護納付金の納付に要する費用に充てるための保険料は、介護保険の第
    二号被保険者である被保険者について賦課すること。
   (2) 介護納付金の納付に要する費用について、国庫負担等の対象とする
    こと。
   (3) 保険料を滞納している世帯主等に対する措置を強化すること。

 2 (二)の2と同様に、介護保険の給付と国民健康保険の給付の調整に関
  する規定を置くこと。

(六) 生活保護法の一部改正

  保護の種類として介護扶助を創設し、困窮のため最低限度の生活を維持す
 ることのできない要介護者及び要支援者に対し、介護扶助を行うこと。

(七) その他

  (一)から(六)までに掲げる事項のほか、関係法律について所要の改正
 を行うこと。

【第三 施行日時】

 この法律は、介護保険法の施行の日から施行すること。ただし、次に掲げる
事項は、それぞれに定める日から施行すること。

(一) 第一の(六)の3及び(七)の2 公布の日

(二) 第一の(六)の1 公布の日から起算して三月を越えない範囲内にお
   いて政令で定める日

(三) 第一の(六)の2 平成十一年十月一日

(四) 第二の(七)(社会保険診療報酬支払基金の介護保険関係業務に係る
   規定に限る。) 平成十二年一月一日

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