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貧血はあなたのからだのシグナルです

    鉄不足による貧血は若い女性に多い

         寺田秀夫  昭和大学内科教授・昭和大学藤が丘病院


 貧血とはどういうこと?

 疲れやすい、冷え症だ、立ちくらみがするなどの症状があると、すぐ貧血のためだ
と思いこんでしまう人が多いようです。ほんとうの貧血とは、からだのどういう状態
を意味するのでしょうか。まずそれを正しく理解しましょう。
「貧血」というのは、からだの中を流れている血液のなかの赤血球に含まれる血色素
(ヘモグロビン=Hb)の量がある一定量から減った状態をいいます。
 架に血色素(ヘモグロビン)というのは、赤血球だけがもっている特有なタンパク
質で、肺のとり込んだ酸素をからだの隅々まで運ぶはたらきをする、いわば”酸素の
運び屋”なのです。”運び屋”が減ってきますと、当然のことながらからだの組織を
つくる細胞に酸素が届けられず、からだにさまざまの異常が現れます。これを貧血症
状といいます。

 女性に多い貧血

 女性に多くみられる貧血は、鉄欠乏性貧血(低血色素性小赤血球貧血)で、思春期
から中年までの女性に多くみられます。なかでも女子の中・高校生、デパ−ト・銀行
・会社・病院など屋内で仕事をしている女性のうち、約3分の1は鉄の欠乏状態を現
しているといわれています。

 貧血の一般症状(イラストより)

 1.顔面蒼白  2.疲れやすい  3.めまい  4.頭痛  5.息切れ
 6.動悸  7.食欲不振  8.集中力がなくなる  9.微熱が出る

            これらの症状はほかの病気でも現れることがあります。

 貧血の原因

 1.鉄分を含む食物をきちんととらない
 2.からだの中に鉄を必要とする状況が生ずる
 3.鉄が体外によけいに排出される

 1は、じゃらだが必要とする食事をとらずにやせようと試みたり、あるいはホテト
チップスなどのスナック菓子を食べすぎて食事のバランスがくずれるためにおこりま
す。そのほか、肉や魚、あるいは野菜類を極端にさける偏食、慢性の胃腸障害などに
よっても貧血が生じます。
 2の場合は、成長・発育段階にある幼少児から中学生、あるいは妊婦や授乳期の婦
人などによくみられます。これらの人たちは、成人男子が一日に必要とする量(10
mg)の2〜3倍も必要なのに、それが食べものから補給されないからです。
 3の状態は、過多月経、子宮筋腫、慢性の痔出血などで血液が体内に過度に排出さ
れるのが現任です。とくに女性の生理は毎月30〜60mlの血液を失い、これは鉄
量にすると一日約1mgにあたります。一般に、月経量が80mlを超すと鉄欠乏性
貧血になるのはこのためです。したがって、閉経後の婦人にはこの貧血はずっと減っ
てきます。また、また、中年以降の女性で貧血をくり返す場合は、まず子宮筋腫が疑
われます。しかし、子宮筋腫があるからといって、いつも異常出血がみられるとは限
りませんから、年に一度は婦人科医の診察をうけ、この機会を利用して子宮がんの有
無も調べてもらってはいかがでしょう。

 貧血の予防は食事で

 1.バランスのとれた食事
 2.適度な運動
 3.過労を避けた規則正しい生活

 上記の3つは貧血を予防する三原則ですが、とくに食事には気を配ってほしいと思
います。
 牛肉、豚肉などの動物性たんぱく質や卵などは、鉄分をもっとも多く含み、消化管
からの吸収もよい食品です。植物性食品では、良質なタンパク源として知られている
豆類、とくに大豆は鉄分を多く含みますし、吸収率もよいので、鉄の供給源として再
認識されてきました。コンブやひじきなどの海藻類もよい食品です。果物や新鮮な野
菜などビタミンCの多い食品は鉄の吸収を助けます。
 一方、ホウレン草は鉄の吸収が悪く、また、お茶やコ−ヒ−、過度な食物繊維のと
りすぎは鉄分の吸収するのを妨げます。

 貧血だといわれたら

 貧血になってしまったら、食事療法だけで治そうとしても治りません。血液を専門
とする医師の指示に従って、鉄剤を長期間服用しなければなりません。貧血は病気の
状態ですから、きちんとした治療が必要です。
 貧血の一般症状が消失し、血色素(ヘモグロビン)が正常値(男子14〜16g/
dl)、女子12〜14g/dl)に回復しても、体の中の貯蔵鉄がじゅうぶん満た
されるまで数か月間は服用をつづけなければなりません。くすりを途中でやめるとま
た貧血をくり返すことになります。

 貧血治療中の心得

 医師の指示で鉄剤を服用中の場合でも、食事は家族のみなさんと同じものを食べて
結構です。レバ−は鉄分もビタミンB12も多く含み、有用な食品ですが食べすぎて胃
腸を悪くすることはかえって困ります。
 鉄剤をとんでいるときには、胃腸からよく吸収されるように、胃腸の状態をよくと
とのえておくことがたいせつです。

 男性や中年すぎの女性の貧血

 男性の貧血や閉経後の女性の貧血は、胃潰瘍による出血や痔出血、あるいは子宮筋
腫などによることがあります。そのほか、がんなどの悪性腫瘍や白血病、血友病が原
因のこともあります。これらには鉄剤は効果がありません。
 自覚症状があったり、あるいは検診で貧血が指摘された場合には、なるべく早く医
師の診察をうけてその原因を発見し、適切な治療をうけてください。


 貧血の種類

 貧血の場合、ヘモグロビンは赤血球数と必ずしも平行して減少するとは限りません。
 鉄欠乏性貧血では、赤血球よりもヘモグロビンがより強く減少し、赤血球は小さく
なります。
 ビタミンB12欠乏による悪性貧血では、ヘモグロビンよりも赤血球がより高度に減
少し、赤血球は大きくなります。
 これらの関係から、貧血は下のように3つの型に分けられます。日常もっとも多い
鉄欠乏性貧血は、3の型に属します。

 1.大赤血球性高色素性貧血群

  悪性貧血
  巨赤芽球性貧血
  再生不良性貧血

 2.正赤血球性〜不定貧血群

  溶血性貧血
  再生不良性貧血
  急性失血性貧血

 3.小赤血球性低色素性貧血群

  本態性低色素性貧血
  鉄欠乏性貧血

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