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初乳に感染防ぐ物質 C型肝炎ウイルス 国内の研究グループ発見
人間や牛が出産直後に最初に出す初乳に多く含まれるラクトフェリンというたんぱく質に、C型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓細胞に感染するのを防ぐ働きのあることが、国立がんセンター研究所の池田正徳博士らと横浜市大医学部の共同研究で分かった。6月25日からアタリアで開かれるHCV国際会議で発表する。培養細胞での実験だが、ラクトフェリンは副作用の報告がないため、研究グループはHCV感染者に経口投与する臨床試験を計画している。ラクフェリンは、殺菌やエイズウイルスの細胞感染巣阻害、大腸がんの予防などの効果があるとされ、一部の乳製品にも添加されている。がんセンター研究所分子遺伝子学研室の加藤宣之室長によると、HCVに牛から抽出したラクトフェリンを加えた後、肝臓の培養細胞に混ぜたところ、細胞へのHCV感染が完全に押さえられた。また、HCVのうち、C型肝炎治療薬インターフェロンの効きにくい1B型の感染も防いだ。加藤室長らは、HCVの表面たんぱく質にラクトフェリンが結合することで、感染できなくなるとみている。
研究グループの田中克明・横浜市大教授は、「感染者の体内のウイルス量を減らし肝機能を改善できるかもしれない」としている。
C型肝炎ウイルス
牛乳成分が感染防止 国立がんセンター報告
国立がんセンター研究所と京都大学ウイルス研究所は共同で、母乳や牛乳に含まれるラクトフェルンと呼ばれる成分にC型肝炎ウイルスの感染を防ぐ働きがあることを発見した。ウイルスとラクトフェリンを混ぜて培養細胞に添加したところ、細胞はウイルスに感染しなかった。C型肝炎では、代表的な抗ウイルス剤であるインターフェロン以外に有効な治療がなく、新しな予防、治療薬に使える可能性がある。研究チームはあらかじめ牛のラクトフェリンを加えておいたウイルスを肝臓の培養細胞に添加し、8日後に感染の有無を調べた。その結果、細胞からウイルスの本体であるリボ核酸(RNA)は検出されず感染していないことがわかった。
1999年(平成11年)3月7日 日曜日
C型肝炎 牛乳の成分効果
がんセンター臨床試験
国内に約200万人の感染者がいるとされるC型肝炎の新しい治療法として、牛乳に含まれるたんぱく質「ラクトフェリン」を患者に食べてもらう臨床試験が、今月から国立がんセンターではじまった。横浜市立大医学部でも同様の試験の計画を進めている。培養細胞を使って実験ではC型肝炎ウイルスの増殖抑制効果がわかっている。ラクトフェリンは人や牛などの母乳に含まれ、これまでに大腸がん予防効果などが判明している。国立がんセンター研究所ウイルス部の加藤宣之室長らが人の肝臓の細胞を使って実験したところ、ラクトフェリンを加えるとC型肝炎ウイルスが細胞に感染しにくくなった。加藤室長はウイルスの表面にラクトフェリンが結合することで増殖が抑えられたとみている。
国立がんセンター中央病院では、倫理審査委員会の承認を経て、内科の岡田周市医長らが今月から臨床試験をはじめた。C型肝炎患者に牛乳から作ったラクトフェリンを8週間食べてもらう。どのくらいの量を食べれば効くか調べるため、患者45人を一日1.8グラム3.6グラム7.2グラムの三群に分けて効果をみる。臨床試験で使うラクトフェリン食品は森永乳業が作った。ラクトフェリンを牛乳から精製する技術を同社が開発し、食べやすい錠剤型の食品にした。横浜市立大医学部第三内科の田中克明・助教授らも学内の倫理委の承認が得られれば、同様の臨床試験を始める予定だ。現在、C型肝炎患者の治療には、インターフェロン注射が使われていれが、一部の患者には効かないなど」限界も指摘されている。田中助教授は「ラクトフェリンは牛乳に含まれる食品なので副作用はほとんどないと考えられる。効果がはっきりすればインターフェロンに次ぐ選択肢になるのではないか」
とみている。
「C型肝炎の感染を防ぐ」
赤ちゃんが、お母さんの母乳を飲むことは、スキンシップにいいだけではありません。栄養的にも、非常にたいせつな意味を持つ行為なにです。生まれたばかりの赤ちゃんは、菌に弱く、病気にかかりやすいのですが、お母さんの出産直後の「初乳」を飲むことだ、細菌やウイルスに対しる抵抗力をつけるのです。この「初乳」に含まれ、体を守る働きをするにが、【ラクトフェリン】という成分です。ラクトフェリンとはタンパク質の1種で、出産後3日ほどの母乳である「初乳」に多く含まれています。ラクトフェリンの働きは、
@ 細菌やウイルスを抑え、死滅させる
A 鉄分の吸収を促して、貧血を予防する
B 免疫力を高めて、インフルエンザやエイズ、ガンを予防する
C 腸内細菌を整えて、腸の働きをよくする
D 病気や老化の原因である活性酸素を除去する
など、じつに多彩なものです。
近年、このラクトフェリンの働きのなかでも、特に注目を集めているのが、C型肝炎ウイルスの細菌感染を防ぐ効果です。残念なことに、現代の医学では、C型肝炎ウイルスに対する決定的な治療法がありません。C型肝炎の治療法としては、インターフェロンが有名ですが40〜50%しか除菌できないこと、重い副作用があることなどから、治療法の決定打とはいえないのが現状なのです。しかし、C型肝炎が進行して慢性肝炎になると、肝硬変から肝臓ガンへ移行する危険があるため、見過ごすわけにはいきません。国立がんセンターの実験では、ラクトフェリンがC型肝炎ウイルスにくっついて細胞に感染するのを防ぐことが確認されています。そのため、今後、ラクトフェリンが、薬として利用できる可能性も期待されているのです。
「血管の老化を防ぐ力もある」
さらに、注目されているのが、ラクトフェリンが活性酸素の害を防ぐ効果です。「人間は血管とともに老いる」といわれ、だれしも年をとると血管の動脈にコレステロールがこびりついて、血管の内側が狭くなる「動脈硬化」が起ってきます。このとき、高血圧や糖尿病などの病気があると、血管の障害がどんどん進んでボロボロになり、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす原因となるのです。そこでたいせつなのが、活性酸素の害を防ぎ、血管の若々しさを維持すること。ラクトフェリンは活性酸素の害を防ぎ、血管の若さを保つために大いに役立ちます。そのため、高血圧や糖尿病の人でも、血管の老化を進めないため、とるといいでしょう。健康のため、ラクトフェリンをとる目安は、1日300mg程度。ラクトフェリンは、初乳以外の通常の食品では、牛乳に比較的多く含まれます。しかし、この量を牛乳でとろうとすると、10リットル以上もの量を飲まなければいけません。牛乳からラクトフェリンを抽出した便利な食品もありますので、そのようなものを利用してもいいでしょう。
ピロリ菌にも効くラクトフェリン
胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こす原因なる、ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌と略す)という細菌。最近、注目されているのが、ラクトフェリンのピロリ菌を除去する効果です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ピロリ菌があるとたいへん再発しやすいのですが、ラクトフェリンはピロリ菌を除去して予防や再発防止に役立つのです。