メグスリノキ……群馬の農協から健康飲料でヒット商品に
メグスリノキ カエデ属、カエデ科
日本にしか見られない薬木で、分布北端は山形、宮城で南端は四国、九州まで、
最も多いのは福島、群馬、栃木、茨城など。別名「チョウジュノキ」。
福島・相馬ではめがよくなることから「千里眼」とも呼ばれる。
山で仕事をする人たちの間では、メグスリノキの効能は”山の常識“として知ら
れていた。中之条営林署によりますと「昔から、疲れ目やかすみ目に効くものとし
て、自分たちで使っていた。」
木の皮と葉っぱを煎じて煮込んだものを酒を飲む前か、二日酔のときに飲むとスッ
キリするそうだ。最近の研究では肝臓疾患にも効果のあることが分かったという。
メグスリノキ研究の権威として知られる星薬科大の伊沢名誉教授によるば、メグ
スリノキにはロドデンドロールという成分が含まれていて、これが肝臓疾患に効果
があるものらしい。「服用すれば肝臓機能が安定、それによって目にも効果がある。
中国医学でも”肝は目に通ず。肝和すれば目よく--“ともいう。」
地元の沢田農協では、営林署の勧めを受けて、このメグスリノキの健康飲料を今
年5月から売りだした。これまでに4万本余りが売れ、現在も生産が間に合わない
人気ぶりで全国各地でも注目されている。
(日刊スポーツ 1994.9.6より)
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それと、薬草カラー図鑑(主婦の友社 S57.7.10第8刷発行)には
メグスリノキ (カエデ科)和名 目薬木
本州(山形、宮城以南)、四国、九州に自生するわが国特産。
名前の由来
我が国しか産しないので、漢名はない。目薬木は、和名を漢字であらわしただけ
のもの。別名としてはチョウジャノキ(長者木)、ミツバナ(三つ花)、ハナカエ
デ(別種にハナカエデがあるが、ここではメグスリノキの別名)などがある。
日本人が知らぬ日本の木
メグスリノキは深山に多く、秋の紅葉は美しいが、そのわには人に知られていな
い。ところが、ロンドンの種苗会社の目録には、アーサー・ニッコインシスの横文
字で、このメグスリノキがのっている。日本人ほど日本の植物をしらないものらし
い。友人からの電話で、樹皮を薬用するハナカエデは図鑑を見てもわからないと問
い合わせがあり、メグスリノキであると、答えたこともある。
目薬と肝臓薬に
福島県相馬地方の山で、この辺りにはメグスリノキが多く、最近、樹皮を薬にす
るとの話を聞いた。目がかすむようなときに煎じて内服すると、遠方まではっきり
するので、「千里眼」の別称もある。また、肝臓疾患の薬としても用いられるとの
ことだが、「素問」「霊枢」などの中国古典には、「肝気は目に通ず、肝和すれば
、目よく五色を弁ず」とあるように、目がよくなれば肝がよくなるのは、漢方の基
礎の病理に符合するので、新発見というものではない。
採取時期と調整法
春から夏に、樹皮または小枝をとって水洗いし、日干しにする。
成分
樹皮には、ツツジ科のツツジ類に含まれる、ロードデンドリンによく似た成分の
エピ・ロードデンドリンが含まれる。
薬効と用い方
(目薬に)
3〜5gを煎じた汁で洗う。また1日量15〜20gを水300ccで1/3
に煎じて内服。
(肝臓疾患に)
上と同じように内服する。
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