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            メラトニンについて

 ア−ロン・ラ−ナ−らは、25万頭のウシの松果体を使って、N-アセチル-5-メトキシトリプタ
ミンを発見し、メラトニンと命名、1958年、Journal of American Chemical Society
誌に報告している。
  以来、あまり注目されなかったが、最近、米国ではメラトニン製剤が、医薬品で
なく健康食品として販売されているが、入手し易く、価格が安価であることもあり、
時差ボケ対策、老化防止、その他多くの効用を目的として、健康食品として販売量
が急増している。それにつれて、メラトニン製剤は、わが国でも関心が高まってい
る。


1.メラトニンとは melatonin(N-acetyl-5-methoxytryptamine)C13H16N2O2 
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 メラトニンは、脳の松果体*から分泌されるホルモンの一種で、脳下垂体後葉の
メラニン細胞刺激ホルモンに拮抗する作用がある(色素細胞に作用して褪色を引き
起こす)。
 動物、植物に存在するメラトニンはすべて全く同じ分子構造である。
*松果体(腺)pincal body:
    内分泌腺の一つで、脳の中央部の第三脳室の上壁の最後部にあり、大きさは 3
  〜8 mmのトウモロコシの粒に似た腺器官である。松果体はヒトの器官の中では、
  早く作られ、受胎後約 3週間で確認される。
 発見以来、メラトニンの研究は進まなかったのは、血中メラトニン濃度があまり
にも微量で計測できなかったことも理由の一つであった。しかし、ラジオイムノア
ッセイ(RIA)が開発され、生体血液内の極く微量のメラトニン量を正確に測定
できるようになった1970年代後半から、メラトニンの研究は急速に進捗した。


2.メラトニンの生成 
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 どのような生物(動物、植物)でも、必ずサ−カディアン・リズム*に従って生
成されており、日中より夜間に多く生成されている。
 なお、松果体内、血中、尿中でのメラトニン濃度は日周変動を示すが、メラトニ
ンの血中濃度は、青壮年者で最高で60〜70pg位である。

(1)生体のメラトニン生成過程
 トリプトファンからの代謝経路には、AとBとがあり、経路Aはナイアシンを成
分とするNAD+、NADP+の合成経路である。
  経路Bは、トリプトファンからセロトニンを経て、N-アセチルトランスフェラ−
ゼにより、N-アセチルセロトニンを生成、さらにヒドロキシインド−ル-O-メチルト
ランスフェラ−ゼによりメラトニンが合成される。セロトニンからメラトニンへの
変換は、状況に応じて調節されて日内変動があり、メラトニンとセロトニンと逆相
関的に変動する。つまり、日中の活動期にはセロトニンレベルが高く、夜間にはメ
ラトニンレベルが高まる。
*サ−カディアン・リズム:日内変動 circadianrhythm
  生体現象のあるものは、24時間の固有のリズムで変動している。睡眠・覚醒や摂
 食行動、運動・疲労、体温、脈拍、尿量などがそれである。下垂体系ホルモン
 (成長ホルモン、ACTH、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモ
 ン)やステロイドホルモン(コルチゾ−ル)、松果体ホルモン(メラトニン)な
 どの血中濃度は24時間周期ないし昼夜(明暗)リズムを持っていることはよく知
 られている。
 例えば、コルチゾ−ルの分泌は睡眠中抑制され、朝増大する。反対に成長ホルモ
 ン、メラトニンはもっぱら夜間睡眠中に分泌される。これらは概日リズム(サ-カデ
 ィアン・リズム)と呼ばれるが、生体はほぼ(circa) 1日(dies)のリズムを持って
 いるとの意味である。

(2)メラトニンとサ−カディアン・リズム
 ヒトではメラトニンレベルは昼間に比べて夜間の方が、 5〜10倍も多く生産され
る。午前 2時から 3時頃にかけてメラトニンの生成量がピ−クに達する。
 メラトニン分泌は夜間に増加する24時間リズムを示し、このリズムは体内時計の
支配を受けている。ヒトの場合、体内時計は朝の明るい光によって調節されるので、
メラトニンの分泌は午前中の光条件で決まると考えられる。
 夏季は日の出が早く、午前中の光が強いので、夜間のメラトニンの出現は、冬季
よりも 1〜2 時間早まる。一方、メラトニン分泌は 2,500ルックス以上の高照度光
により、体内時計に関わりなく抑制されるが、それより低い照度でもメラトニンが
抑制されるとの報告もある。つまり、夜間 2,500ルックス以上の照明下で起きてい
る場合は、体内時計で決められたメラトニン分泌の開始時刻になっても、高照度光
により分泌が抑制されるので、メラトニン出現時間は遅れることになる。
 通常の夜間照明条件(300〜500ルックス)では、メラトニン分泌は、体内時計で
決められた時間に始まる。この場合、就眠時間だけが遅くなり、覚醒時刻には変化
がなくて、以前と同じ時間帯に明るい光に当たるならば、体内時計は変わらず、メ
ラトニンの出現時刻は変化しないと考えられる。しかし、就寝時刻が遅延するに従
い、覚醒時刻も遅れ、明るい光に当たる時間帯が遅れると、体内時計が変化して、
メラトニンの出現時刻も遅れると考えられる。

(3)メラトニンとライフサイクル
 松果体は 7歳位まで比較的よく発達している。従って、メラトニンの分泌量は、
 6〜7 歳位が最大で、16歳位から減りはじめ、50歳では半分に減少する。
  また、新生児は生後 3カ月まではごく少量のメラトニンしか生成しない。その後
増加するのであるが、よく乳児が昼と夜の区別がつかず、夜泣きをするのもメラト
ニンレベルが低いからではないかと推定されている。その後、成長とともにメラト
ニンレベルは増加し、思春期を迎える直前まで、夜間のメラトニンレベルはそのま
ま変化はない。思春期の直前になると急激に下がり始める。血中メラトニン濃度が
低くなることが、思春期を促すのではないかと考えられている。これは繁殖期の哺
乳類ではメラトニンレベルは性腺機能を抑制され繁殖が低下することと関わりがあ
るのではないかと推測されている。
  北極圏に住む女性がメラトニン分泌が増える冬季になると排卵が無くなるとの報
告があり、また月経初来の年齢が低下している原因として、夜型の生活がメラトニ
ン分泌を抑制したためとの説がある。
 ヒトにおいて、就寝時刻あるいは睡眠時間と性ホルモン分泌との直接的な関係は
知られていない。思春期では、性腺刺激ホルモンの血中濃度は睡眠中に上昇するの
で、睡眠時間と性ホルモン分泌には何等かの関係が示唆される。


3.メラトニンの作用と用量 
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 メラトニンは、その名称の由来でもあるように、両生類のメラニン色素細胞には
直接作用し、メラニン含有顆粒の凝集を起こして皮膚色調を消褪させる。しかし、
メラトニンは哺乳動物にはこのような作用を示さない。視交叉上核の機能を介した
体内生物時計の制御に関与していると考えられている。

(1)メラトニンの作用
  現在、メラトニンは医薬品としての報告はほとんど無いが、次のような作用があ
るのではないかと言われている。  

1.睡眠に関わる作用、時差ボケ解消作用
2.免疫機構に関わる作用
3.抗酸化物質としての作用
  メラトニンはホルモンとしての作用と、抗酸化物質としての作用がある。フリ−
 ラジカルに対する抗酸化作用はビタミンEあるいはビタミンCよりは強いと言わ
 れている。
    注:メラトニンの抗酸化力はビタミンEの 2倍、グルタチオンの 5倍と報告さ
        れている(R.J.ライタ-)。
 以上の作用によって、老化防止にも役立つのではないかと考えられている。

(2)メラトニンの作用
 現在、米国では健康食品として販売されているが、望ましいとされている服用量
の範囲は次のようである。

1.睡眠   :0.2〜10mgを就寝時に服用(服用時間を定めて生物リズムを乱さない)
2.時差ボケ :1〜10mgを現地時間でベットに入る直前に服用
              目的地に到着したら、現地時間での就寝時刻の 1時間ほど前に、 5
       mgを服用し、時差を感じなくなるまで毎晩服用を続ける。
3.老化防止 :0.1〜3mgを就寝前に服用
4.交代制勤務:1〜5mgを主要な睡眠を取る直前に服用
5.免疫系刺激:2〜20mgを主治医の指示に従って服用

〔参考〕メラトニンを多く含む食物           
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  食物         1g当たりメラトニン量(pg) 
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 オ−ト麦                1,796
  トウモロコシ            1,366
  米                      1,006
  ショウガ                  583
  トマト                    500
  バナナ                    460
  オオムギ                  348
  カイワレ大根              657
 アシタバ                  623
  春菊            417            


4.メラトニンの服用について 
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 メラトニン製剤には一般に副作用が無いとされているが、メラトニン原料の同系
統のトリプトファン問題の教訓もある。
 トリプトファンによって、米国では1989年の夏頃から、好酸球増多・筋肉痛症候
群(EMS)がオレゴン、ミネソタを中心に約 1,500人も発症している。原因はト
リプトファンそのものによるのか、或いは不純物によるものか、ついに確定しなか
ったが、トリプトファンの販売は中止された。
 また、ヒトには個人差も大きいので安易に連用すべきではないが、特に次の場合
は注意する。
1.妊婦あるいは妊娠している可能性のある婦人:
 妊娠中の安全性は確立していない。また、10mg以上の服用は排卵を妨げることが
 考えられるので、妊娠を希望する婦人には適当でない。
2.授乳中の婦人:
  母乳中に移行し、乳児に影響を与えるかもしれない。
3.ステロイド服用者:
  ステロイド剤の効果が減弱する可能性がある。
4.精神障害のある患者:
  昼間、メラトニン投与により、サ−カディアン・リズムが乱され症状が悪化する
 おそれがある。  
5.重いアレルギ−のある者:
  メラトニンは免疫系を刺激してアレルギ−反応を強める可能性がある。
6.自己免疫疾患患者:
  メラトニンは免疫系を刺激してアレルギ−反応を強める可能性がある。
7.免疫系ガン患者(リンパ腫、白血病など):
  メラトニンは免疫細胞をさらに刺激する可能性がある。
8.小児:
 小児はもともとメラトニンレベルが高い。体外からのメラトニン摂取のもたらす
 作用は確認されていない。

 米国はビタミン剤、強壮剤、ハ−ブなどの市場は約50億ドルと推定されているが、
メラトニン製剤は健康食品として販売量が急増している。メラトニンは 1錠当たり
10セント前後と極めて安い。このことも米国で汎用される理由であろう。

〔文献〕
    本間 研一:睡眠時間とメラトニンリズム,日本医事新報No.3595,155,1993.
    高木 隆郎:モダンメディシン,1990-2,80
    ラッセル・J・ライタ-:奇跡のホルモン−メラトラン,講談社,1995.
    新生化学入門:トリプトファンの代謝,南山堂,125,1992.

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