------------------------------------------------------------------------p378 炉甘石 舶来白色の物が佳品である.焼壷で焼過し水を飛して用いる.黄色青色の品物は悪いの で用いべからず. 没薬 煉没薬と称するものを用いる事.いま普通の品は花没薬を呼ばれる物で真物では無いと いう.用いない事. 水銀 蘭産の上品を用いる事. 軽粉 伊勢射和の産で両銘と呼ぶものを用いる.雲母を混じらせた偽物もある.これを確める には鉄器の上で焼けば偽物はカスが残留する.両銘の箱入では偽雑は無い. 天瓜粉 潔白で袋の上から握ると,雪を握りしめるような音のする物が良い.葛粉,生●の粉を 混じらせ偽る物があるので注意する. 土茯苓 漢産は少し淡紅色で,扱ったときに手に粉の付く物,及び刻んだとき粉の出る物を用い る事. 防風 筆防風,藤助防風と呼び直根で長さ五〜六寸から七〜八寸の物を用いること. しゃこ菜 薩州から産する.紀州からも産するという.この生薬は歴代の本草に収載されず●書南 山志,●州府志に初めて出た.回虫を下す作用は絶妙である.また回虫が無くとも腹痛 が長く止まぬものを治す.よく腸垢をとる作用がある.その効果は「セメンシーナ」が 回虫を下すのと同じではない.我国には「まくり」と称し古くから用いてきた.腸内の 垢●をまくり出すの効果があるところから名付けられたのだ. 硫黄 鷹の目と称する物を用いる事.鵜の目という物はこれに次ぐ物である. 梔子 山産で小さく,焦茶色の品は効果がある.鮮かな黄色で形大きい物は効果が劣る.用い ないこと.こちらは染物屋が使う物である.仲景方には山梔子とは記載してないが山産 の品は佳品である. ---------------------------------------------------------------------p379 青もう石 古渡の品が上である.これを焼くには,先ず青もう石,消石の等分を別々に粉末にし, 鉄鍋の中に消石末を敷いてからその上に青もう石末を入れる.そして烈火で焼くと,消 石が溶ける.これをよくかき混ぜて火斗のようなものに斜瀉して熱を去れば固まりだす .それを金槌で叩いて砕く薬研で細末にして用いるのである. 五霊脂 黒色で光沢のある物が佳品である. 頭蟹 津蟹,沢蟹とも称す.漢名●●という.谷川,小川等に生息する.生薬には形が小さく 黒い物を用いる. 桑寄生 黄色の物は桑木の寄生である.他木の寄生を黄色に染めて偽る者がある.精撰する事. 石灰 本山と呼ばれる物を用いる事.牡蛎殻灰を偽る者がある.精撰する事. 家猪胆 豚の胆である.私は自ら採取,乾燥し用いる事がある.熊胆の下品よりも品質は良い. 形は大きいが汁が少いので乾かすと皮ばかりになってしまう. 竜葵 和名[犬しっぽ]という.その実は始め青く熟すれば紫黒色になる.熟しかかるとき採 取して乾燥し黒焼にして用いる. 医療というものは薬剤を撰ぶことが肝腎である.たとえ方症相対しても薬品が劣品であ れば効果が無い.いま僅に常用の品を記録して置いたのである.しかし物に顕晦出没あ り後来必ず日を追い年を逐って真偽が明かになるであろう.心を用いて選品しなければ ならない. p379の途中です.