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香鼓
『本草綱目』の製法に従い,手製にて壷に貯蔵,用時二つに刻み使用する.細く刻むと
煎液がどろどろして良くない.薬舗に豆鼓と称して売る物は納豆を干した物である.効
果無く用いるべからず.『本草綱目』の製法は松岡玄達の『用薬須知』に訳し出ている
.一覧する事.

薤白
五月,根が肥大する頃採取し二つ割ににしてよく干して置く,用時小口切りに刻み使用
する.カビの出ないよう注意し,時々干す事.痰飲,胸痺,肩背の痛み等には●に聖薬
せある.『類聚方』中の薤白処方をひいてその効能を調べる事.

乾姜
片製白色で大きいものが良い.俗医,薬舗等でこれを生姜を称しているのは誤りだ.一
種黒色で三河生姜を称する物があるが,用いるべからず.

橘皮
しょく椒の色のような物が佳品である.腐敗した物,古い物,用いない事.又,橙皮,
朱橘皮を挟雑するものがある,生薬をよく撰ぶ事.薬徴に甘橘の弁があるが返って戸惑
うかと思われる.やはり柑皮を用いるべし.柑即ち橘である.柑は後世の字であるから
古書にはない.後世で陳皮と称するは陳橘皮の略称なのだが,ただ陳皮と呼んでは何の
陳皮が分らない.香川太冲がセッタの古皮かと嘲けるのも宣なり.本草の六陳八新の説
は妄論である.薬は皆な新物を佳とする.

桂枝
唐の品,香気強く辛味も強く且つ少し甘味を帯びる物が佳品である.『神農本草経』で
牡桂,菌桂と分けて効能も別々になっているが気にしなくても良い.これは仲景氏の言
っていない事だ.厚薄共に渋味なき物が良い品であるが,先の部分では薄皮の物が佳品
である.今は上品が少い.土佐産も紀伊産も辛烈で甘味を帯び渋味のない物は用いれば
良い.効果あるだろう.桂枝はもと刈桑の如く年々枝を刈り,皮を剥いではいけない.
もしそうだとすると桂枝と呼ぶがその意味をなさないように思う.香川太冲が桂皮と改
めるのもこのような理由があるのだろう.根皮と呼ぶ物は用いない事.              
 

厚朴
文政頃までは厚き品が渡来したが,その後薄い物ばかりで効果がない.市場に薩摩,或
いはたぼ皮,或いは銀山産と呼ぶものがある.厚皮で色は栗の皮より濃く刻んでみると
薬刀のあと少し光り結晶を見る物が効果がある.撰品すべし.東洞先生の説に,京都比
叡山に------というのがあるという.五十年前先師御普請役人に頼み内々に少々取寄せ
た事がある.とても上品である.しかし,禁制にて採ることも,他に移し植えることも
できないという.惜しむべきことである.

枳実
唐の品,香気あって良い.心胸を開き,腹中の欝閉を通ずる事絶妙である.あまり大き
くなく肉の茶褐色である物が佳品である.肉の白い物は宜しくない.和産茶の実様,丸
薬様という物は橘,柚,橙,柑,臭橘など花落ちという物を拾い集め乾かした物である
.苦味甚しく臭気強く芳香がない,用いるべからず.中割と称する物は品物が不足を補
うのには用いることは出来る.疑うらくは漢種であろう.
                                                                              
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  酸棗仁
実した物を撰び用いる事
                                                                              
  茯苓
肉細かで潤実薄桃色の物が有効だ.白くて粘り気が無くぞくつく物は無効.用いるべか
らず.

猪苓
唐品で沈実の物が有効である.和産も軽虚でなければ不足を補う事が出来る.

龍骨
備州小豆島に出て,少し赤色を帯び舌に粘著する物を用いる事.唐産は白色,或いは薄
茶色である.その効果は大いに劣る.延喜式には,安房の国より年々三斤ずつ献ずる事
が記されている.どのような品なのか今は不明である.

牡蛎
砕き牡蛎と呼ぶ物を用いる事.今の吉益牡蛎は,牡蛎殻だけを焼いた物とは思われない
ので私は砕き牡蛎を用いる.

鉛丹
大阪にて製造する.長吉丹,庄吉丹と称し赤色鮮明な品を用いる事.

地黄
大和にて産する.乾地黄,肥大した物を用いる事.医人の中には乾地黄を生地黄と称し
て,生地黄を鮮地黄と呼ぶ者があるが,誤りである.

沢瀉
仙台,丹後で産する肉の肥大した物,利水の効果が最も勝っている.

瓜蒂
越前の産を佳品とする.しかし,今薬舗にて売る物産地が明らかにすることが出来ない
.苦味甚しい物を撰ぶべきである.

知母
唐産は上品である.和産も唐種と称する物は佳品である.

括婁根
土瓜根を括婁根と偽るものある.土根は色が潔白ではない.

通草
木通と称する.和産を撰んで用いる事.唐は返って悪い.

きゅう窮
豊後の産が自生品で良い.しかし,産量がとても少い.

蜂蜜
諸州から出ている.先年紀州より取寄せた物は極品であった.また駿河田中からも取寄
せたが,これも上品であった.今は諸州から上品を産する.



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