日薬発第84号
                             平成9年1月21日

都道府県薬剤師会会長 殿

                             日本薬剤師会
                             会長 吉 矢 佑


           日本薬剤師会制定「都道府県薬剤師会認定基準薬局」制度の
           実施要綱の改定について

 平成2年4月1日より実施しました標記制度につきまして、今般実施要綱を全面
改定し、新実施要綱を平成9年4月1日から施行することといたしましたのでお知
らせいたします。
 基準薬局制度は、薬局がその有する諸機能を総合的に発揮し、地域社会のニーズ
に応えていくことなどを目的として、平成2年3月8日付日薬学発第241号通知にて
ご案内申し上げ、平成2年4月1日に発足いたしました。19項目の認定基準と8項
目の努力目標等を規定した実施要綱により制度を運営してまいりましたが、その後、
(1) 第二次医療法の改正(平成4年7月)、(2) 薬局業務運営ガイドラインの通知
(平成5年4月)、(3) 在宅患者訪問薬剤管理指導料の新設(平成6年8月)、(4) 
保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の改正(平成8年4月施行)、(5) 薬事法・
薬剤師法の改正(平成9年4月施行)など薬局を巡る環境が大きく変化し、認定基
準及び努力目標の見直しを行う必要性が代議員会等で指摘されてきました。こうし
た環境の変化を踏まえ、本会では、基準薬局制度運営協議会が中心となり、認定基
準等の見直しについて検討を行い、この程理事会の承認を得て実施要綱を別添のと
おり全面改定することといたしました。
 新たに定めました実施要綱では、認定基準を39項目に拡充し、また従来の努力目
標については認定基準に組み入れることにより、発展的に廃止しております。
 つきましては、今回の改定を踏まえて、貴会におかれましても貴会における運用
規定等を改定するとともに、現在の認定基準薬局について、関係会員にご周知の上、
新認定基準に照らして、平成9年4月1日以降、段階的に認定の見直しを行ってい
ただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 なお、本会では、従来より国民向けポスターやパンフレット等において『基準薬
局をかかりつけ薬局選びの目安にして下さい』旨のPRを行い、ゲット・ジ・アン
サーズ運動でもこうした主旨を説明しておりますが、今後も同様に基準薬局につい
ての広報活動を展開していく所存でありますので、貴会におかれましても、基準薬
局制度の推進並びに広報について引き続きご尽力賜りますよう、重ねてお願い申し
上げます。
 おって、平成2年3月8日日薬学発第241号通知「日本薬剤師会制定『都道府県
薬剤師会認定基準薬局』制度の実施について」は、平成9年3月31日限り廃止いた
します。



              日本薬剤師会制定「都道府県薬剤師会認定基準薬局」
       制度実施要綱

                                                  平成2年3月8日制定
                                                  平成9年1月17日全面改定

1.制度の趣旨
 我が国は、他国に類をみない速度で急速に高齢化社会に向かっている。65歳以上
の人口比率は1970年は 7.1%であったが、1986年には10.6%に達し、2010年には20
%になると予想されている。これに伴い疾病構造は変化し、それに対する医療は質
的転換をせまられている。着実に増大する医療ニーズと、それに伴う医療費の財政
負担が膨大する中で、病院や診療所等の役割分担が見直されており、薬局の役割や、
一般用医薬品の役割も問われ直されている。
 日本薬剤師会は、こうした医療変革の中で、時代の要請と、地域住民のニーズに
応えるため、遅くとも二十世紀中に、薬学的基盤に立った、より質の高い薬局像を
打ち立てることが不可欠と考えている。
 日本薬剤師会が、「都道府県薬剤師会認定基準薬局」(以下「基準薬局」という。)
制度を創設する趣旨は、このような諸般の状況を踏まえ、薬局の持つ総合的機能を、
より有機的・関連的に作動させ、地域医療の中で、「基準薬局」が中核となって、
ニーズに合った質の高い薬局・薬局薬剤師の活動を実践・拡大させようとするもの
である。なお、ここでいう薬局の総合的機能とは、調剤、医薬品販売、薬局製剤の
製造及び販売、医療用具・医薬部外品・介護用品・衛生関連用品等の取扱い、及び
これらに関係する情報の収集・整理・提供を行う機能をいう。

2.実施要綱の改定(平成9年1月)について
 基準薬局制度の発足後、約6年が経過し、その間、(1) 第二次医療法の改正(平
成4年7月)、(2) 薬局業務運営ガイドラインの通知(平成5年4月)、(3) 在宅
患者訪問薬剤管理指導料の新設(平成6年8月)、(4) 保険薬局及び保険薬剤師療
養担当規則の改正(平成8年4月施行)、(5) 薬事法・薬剤師法の改正(平成8年
6月公布、平成9年4月施行)など、薬局・薬局薬剤師を巡る環境は大きく変化し
た。
 こうした環境の変化を踏まえ、基準薬局制度における認定基準及び努力目標につ
いて見直しを行い、より高いレベルの認定基準を設ける必要性が日本薬剤師会代議
員会等で指摘されるようになった。
 日本薬剤師会では、こうした状況を鑑み、基準薬局制度運営協議会が中心となり
認定基準等の見直しについて検討を行い、平成9年1月、基準薬局制度の実施要綱
を全面改定するに至った。

3.「基準薬局」認定基準
 「基準薬局」は、別紙1に定める「基準薬局」認定基準を遵守し、地域住民のニ
ーズに合った薬局・薬局薬剤師の活動を実践し、地域住民及び他の医療関係者の信
頼を受けるよう努力し、他の薬局の模範となるよう努めなければならない。

4.「基準薬局」の認定
  (1) 都道府県薬剤師会は、会員が開設者又は管理薬剤師となっている薬局の中か
  ら、別紙1の「基準薬局」認定基準を満たし、かつ自主的に認定を希望する薬
  局に対して、「基準薬局」として、これを認定するものとする。

  (2) 「基準薬局」の認定は、次により行うものとする。
  1)「基準薬局」の認定を受けようとする薬局は別紙様式1の申込書に別紙様式
      2の認定基準確認表を添えて所属の都道府県薬会長に提出する。
  2)都道府県薬会長は、適合と認めた時は別紙様式3により「基準薬局」認定証
      を交付し、「基準薬局」名簿に登録する。

5.「基準薬局」の標示等
 「基準薬局」は、日本薬剤師会が定める「基準薬局」の標識を掲示すること。

6.「基準薬局」への情報提供
 日薬会長及び都道府県薬会長は、「基準薬局」に対しその活動を行うために必要
な情報及び資料等を適宜提供するよう努めるものとする。

7.「基準薬局」からの調査報告
 (1) 「基準薬局」は、医薬品の副作用事例や乱用事例等の情報、その他医薬品あ
  るいは、医療または薬事に関し重要と思われる情報を入手した場合には、速や
  かに都道府県薬会長へ報告するものとする。また、都道府県薬会長は、必要に
  応じ「基準薬局」に対し、特定事項について調査報告を求めることができるも
  のとする。

 (2) 都道府県薬会長は「基準薬局」からの調査報告について、日薬会長の求めに
  応じ適宜報告するとともに、必要と認めた事項に関しても報告するものとする。

8.商業的利用の禁止
 「基準薬局」は、「基準薬局」に認定されていることを医薬品等の販売促進の目
的で宣伝してはならない。また、「基準薬局」に認定されていることをもって、そ
の優越性を主張し、あるいは「基準薬局」以外の薬局を誹謗してはならない。

9.職業上知り得た秘密の漏泄と利用の禁止
 「基準薬局」は、薬歴等の職業上知り得た事柄(住所、氏名、電話番号も含む)
を医療目的上必要と認める以外は、これを漏泄し、もしくは利用してはならない。

10.「基準薬局」の認定取消し等
 (1) 「基準薬局」が次のいずれかに該当する場合は、「基準薬局」の認定は失効
  したものとみなすものとする。
  1)「基準薬局」の開設者、あるいは管理薬剤師が日薬正会員でなくなり、かつ、
      速やかにその是正措置がとられなかった場合
  2)「基準薬局」が「基準薬局」の認定後、別紙様式5により認定の辞退を申し
      入れてきた場合

  (2) 「基準薬局」の認定は、原則3年ごとに別紙様式4により都道府県薬会長に
     更新の届出を行わなければ、その期間の経過によりその効力を失う。

  (3) 都道府県薬会長は、次のいずれかに該当すると認められる場合には、「基準
    薬局」の認定を取り消すことができる。
   1)「基準薬局」認定申込書(別紙様式1)及び認定基準確認表(別紙様式2)
       に虚偽の記載があった場合
     2)「基準薬局」認定基準に適合しないと認められる場合
   3)薬事関係法規及び関係行政通知、薬剤師綱領、薬剤師倫理規定及び日薬・都
       道府県薬が定める自主基準等に違反した場合
     4)その他、都道府県薬が「基準薬局」としての適格性に欠けると判断した場合

  (4) 「基準薬局」の認定を受けた者が上記 (1)、(2)または(3)により、認定が失
  効また取り消されたときは、可及的速やかに「基準薬局」の認定証を都道府県
  薬会長に返納しなくてはならない。

  (5) 都道府県薬会長は、認定基準が変更された場合、その他諸般の情勢変化等を
  勘案し、必要に応じ「基準薬局」の総合的見直しを行うことができる。

11.「基準薬局」認定状況の報告
 都道府県薬会長は、「基準薬局」認定状況を日薬会長の求めに応じて、定期的に
日薬会長に報告するものとする。

12.都道府県薬における認定基準の付加
 別紙1の「基準薬局」認定基準(日薬)には、地域事情を考慮し、必要な事項を
都道府県薬において付加できる。

13.運営協議会の設置
 「基準薬局」制度の適切かつ円滑な運営を図るため、日薬内に「基準薬局」制度
運営協議会を設置するものとする。なお、この運営協議会の組織、運営、審議事項
に関する規程は別途定める。(別紙3参照)
 また、都道府県薬においても所管地域における本制度の適正かつ円滑な運営を図
るため、都道府県薬の「基準薬局」制度運営協議会を設置するものとする。(別紙
4参照)

14.本要綱の制定及び改廃
 本要綱の制定及び改廃は日薬理事会の承認を得るものとする。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
別紙1

                  「都道府県薬剤師会認定基準薬局」認定基準


薬局の従事者に関する項目
−−−−−−−−−−−−
 (開設者)
  1.開設者は、薬事法、薬剤師法、医療法、健康保険法等の薬事・医療関連法
    規及び薬局業務運営ガイドラインに従った適正な運営に努めること。
  2.開設者は、薬事法第九条の二第2項(*1)に定めるとおり、薬局の管理
    者が必要と認めて述べる意見を十分に尊重すること。
  3.開設者は、業務量に応じた必要な薬剤師数を確保すること。

 (管理者)
  4.薬局の管理者は、薬局業務運営ガイドラインに従った薬局業務の適正な運
    営に努めるとともに、薬事法第九条(*2)に定める管理者の義務を遂行
    し、そのために必要と認めるときは開設者に遅滞なく意見を述べて改善を
    求めること。

 (従事薬剤師)
  5.従事する薬剤師は、日本薬剤師会の定めた「薬剤師倫理規定」を遵守する
    こと。
  6.従事する薬剤師は、全員が保険薬剤師であること。
  7.従事する薬剤師は、薬剤師会、薬剤師研修センター及び薬科大学等が開催
    する研修を受け、薬剤師会雑誌等を熟読するとともに常に自主的な学習に
    努め、都道府県薬剤師会会長の指定する研修会には必ず参加すること。な
    お、日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師になることが望ましい。
  8.従事する薬剤師は白衣、薬剤師である旨を示すネームプレート等を必ず着
    用すること。

薬局の機能に関する項目
−−−−−−−−−−−
 (薬局の独立性及び健康保険事業の健全な運営の確保)
  9.医療機関から経済的、機能的、構造的に独立しており、また医薬品製造業
    者及び卸業者から運営上独立したものであること。
   10.保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第二条の三(*3)に定めるとおり、
    健康保険事業の健全な運営の確保を図らなければならない。

 (指定・届出)
  11.保険薬局その他必要な指定(*4)を受けていること。
  12.在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出をしていること。
  13.麻薬小売業者の免許を受けていることが望ましい。

  (開局時間)
  14.開局時間は、地域の医療機関や住民の需要に対応できるものであること。
    なお、特定の医療機関からの処方せん応需のみに対応し、当該医療機関の
    診療時間外や休診日に合わせて閉局することは認められない。

 (休日・夜間等の対応)
   15.休日・夜間においても、緊急の場合に処方せん応需や一般用医薬品等の供
    給を行うことができるよう、適切な措置を講じていること。
  16.地域薬剤師会等が、当番制、輪番制等により処方せん応需または一般用医
    薬品供給等の休日・夜間体制を実施している場合には、必ずこれに協力し
    ていること。

 (品質管理)
  17.医薬品等の適切な管理のために必要と認める試験検査を行い、特に品質に
    疑いのあるものについては、薬剤師会関係試験検査センター等、厚生大臣
    の指定する試験検査機関を利用して積極的に試験検査を実施すること。

 (広告及び販売姿勢)
  18.乱廉売等、濫用を助長し、品位を損なうような広告宣伝を慎むこと。
  19.一般用医薬品の供給に当たっては、地域の保健・医療・福祉に貢献する薬
    局として、国民および医療関係者の信頼を損なうことのないよう、販売姿
    勢に留意すること。

薬局の構造設備に関する項目
−−−−−−−−−−−−−
 (構造設備)
  20.地域の保健・医療を担うに相応しい構造設備を維持すること。
  21.必要な待合設備を確保していること。
  22.患者のプライバシーに配慮しながら薬局の業務が行えるよう、構造設備を
    工夫すること。
  23.ファクシミリを設置していること。なお、情報の入手等のためにコンピュ
    ータを設置することが望ましい。

 (掲示)
  24.次の事項を薬局の外側の見やすい場所に掲示すること。
    ア.保険薬局である旨
    イ.基準薬局である旨
      なお、日本薬剤師会の作製する「基準薬局標識サイン看板」を設置す
      ることが望ましい。
    ウ.開局時間及び休業日
    エ.閉局時、休日・夜間等における対応
  25.次の事項を薬局内の見やすい場所に掲示すること(*5)。
    ア.薬剤師の氏名または薬剤師免許証
    イ.薬局開設許可証等
    ウ.厚生大臣の定める保険薬局が提供するサービスの内容(*6)
    エ.消費者からの質問相談に応じる旨
    オ.薬剤師の在・不在

薬局業務に関する項目
−−−−−−−−−−
 (処方せん応需)
  26.処方せんは薬剤師が責任をもって受け付けること。なお、処方医薬品を備
    蓄していないことを理由に処方せんの受け付けを拒否することは認められ
    ないことから、地域の実情に応じて必要な調剤用医薬品を備蓄するととも
    に、近隣の薬局と連携を密にし、地域薬剤師会等が実施する応需体制には
    参加協力すること。
  27.備蓄不足で即時調剤が不可能な場合、または薬剤師不在等のため処方せん
    の受け付けが不可能な場合は、同意を得て後刻届けるなどの便宜を図り、
    患者に迷惑のかからぬよう措置すること。なお、同意が得られないときは、
    調剤可能な近隣の保険薬局を責任をもって紹介すること。

 (一般用医薬品等の供給)
   28.地域に必要な一般用医薬品や医療用具等を供給することにより、地域住民
    の適切なセルフケアの推進に努めること。
  29.購入者や使用者に対して、薬事法第七十七条の三第4項(*7)に定める
    とおり、一般用医薬品が適正に使用されるために必要な情報を提供するよ
    う努めること。
   30.習慣性や依存性があり、または濫用されやすい一般用医薬品については、
    購入者等に適切な指導を行い、濫用の恐れがあると判断した場合には販売
    しないこと。

 (薬歴管理・服薬指導・情報の収集及び提供等)
  31.調剤した薬剤のみでなく、一般用医薬品等を含めた薬歴管理を行うこと。
    また、必要に応じて処方医に対し患者の服薬情報の提供を行うよう努める
    こと。
  32.適切な服薬指導を行うとともに、薬剤師法第二十五条の二(*8)に定め
    るとおり、患者等に対して、調剤した薬剤が適正に使用されるために必要
    な情報を提供すること。
   33.薬局の利用者等から医薬品の副作用、その他医薬品等の有効性・安全性に
    関する情報を積極的に収集するように努め(*9)、都道府県薬剤師会、
    日本薬剤師会並びに行政機関等を通じて安全性確保に協力すること。

  (受診勧告)
  34.患者から相談を受けたときや一般用医薬品の販売を行うとき、医師の診察
    ・検査等が必要と判断した場合は、速やかにかかりつけ医、かかりつけ歯
    科医等への受診を勧めること。

 (在宅医療・介護への参加)
  35.ケアチームの一員として在宅医療及び介護関連活動に積極的に参加すると
    ともに、医薬品や介護・看護用品の供給、展示の充実、相談の応需に努め
    ること。また、自治体等の行う保健事業、福祉サービスに協力することに
    よって、地域の保健・医療・福祉に貢献すること。

薬剤師会活動等への協力・参加
−−−−−−−−−−−−−−
 (実務実習・卒後研修の受け入れ)
  36.薬学生の実務実習及び免許取得後の薬剤師の卒後研修の受け入れに積極的
    に協力すること。

 (保健衛生向上への貢献)
  37.薬物乱用防止活動、学校薬剤師活動、その他地域の薬事衛生、環境衛生の
    維持向上のために行われる各種事業に積極的に参加し、保健衛生の維持向
    上に貢献すること。
 (薬剤師会等への協力)
  38.地域薬剤師会と協力して面分業の推進を図り、患者等が自由に薬局を選択
    することができるように配慮すること。
   39.薬剤師会や行政機関が実施する各種調査等に対しては積極的に協力するこ
    と。

参 考
−−−
(*1) 薬事法第九条の二(薬局開設者の遵守事項)
   2 薬局開設者は、第八条第一項ただし書又は第二項の規定によりその薬局
    の管理者を指定したときは、前条第二項の規定による薬局の管理者の意見
    を尊重しなければならない。

(*2) 薬事法第九条(管理者の義務)
     薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬
    局に勤務する薬剤師その他の従事者を監督し、その薬局の構造設備及び医
    薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき、必要な注意を
    しなければならない。
   2 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬
    局の業務につき、薬局開設者に対し必要な意見を述べなければならない。
 
(*3) 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第二条の三(健康保険事業の健全
    な運営の確保)
     保険薬局は、その担当する療養の給付に関し、次の各号に掲げる行為を
    行ってはならない。
    一 保険医療機関と一体的な構造とし、又は保険医療機関と一体的な経営
     を行うこと。
    二 保険医療機関又は保険医に対し、患者に対して特定の保険薬局におい
     て調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、金品その他の
     財産上の利益を供与すること。
   2 前項に規定するほか、保険薬局は、その担当する療養の給付に関し、健
    康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならない。

(*4) その他必要な指定の例
    ア.公費負担医療の指定
      ・生活保護法による医療扶助
      ・結核予防法による適正医療
      ・身体障害者福祉法による更生医療
      ・その他
    イ.労災保険薬局
    ウ.その他
 
(*5) 基準薬局に掲示する事項の具体例                    

 1.薬剤服用歴管理指導の実施
    ア.当該薬局が、薬剤服用歴管理指導を実施している旨を知らせる。
    イ.薬剤服用歴の目的、内容及び管理方法、またその管理による患者にと
     ってのメリット等、医薬品の有効使用・安全使用における効果を知らせ
     る。
     <掲示例>
     「当薬局は、患者さんの服用薬剤の種類や服用経過などを記録した『薬
      剤服用歴』を作成し、薬剤によるアレルギーや副作用の有無をチェッ
      クするとともに、複数の病院・診療所から薬剤が処方されているよう
      な場合には、服用薬剤同士の重複や相互作用の有無もチェックします。」
                                        

 2.在宅患者訪問薬剤管理指導業務の届出の有無
    ア.在宅患者に対し、訪問薬剤管理指導を実施する旨をあらかじめ都道府
     県知事に届け出ていることを掲示する。
     <掲示例>
     「当薬局は、処方せんによる医師の指示があるときは、在宅で療養され
      ている患者さん宅を訪問して服薬指導等を行います。」
 
   3.閉局時、休日・夜間等における対応                   

  ア.当該薬局の閉局時の対応(連絡先または近隣で開局している当番薬局
     の案内等)を掲示する。
    イ.当該薬局が、休日・夜間等における処方せんの応需体制をとっている
     ことを知らせる。
    ウ.地域の支部・グループ等の輪番制、または当番薬局が単独で対応して
     いることにかかわらず、目的、趣旨、地域の休日・夜間担当診療所との
     対応及び連絡方法など応需体制の具体的内容を掲示する。
     <掲示例>
     「緊急の場合は下記までご連絡下さい。(電話番号を掲示)」
     「当地区では、休日や夜間の処方せん応需を輪番制で行っています。本
      日の当番薬局は下記の薬局です。(薬局の地図、所在地、電話番号を
      掲示)」
     「当薬局は、地域医療の一環として○○医師会の休日診療所に対応する
      ため、休日や夜間等の閉局時も処方せんを受け付けています。」

   4.基準調剤加算に関する事項
     <掲示例> 
     「当薬局は、厚生大臣が定める基準による調剤を行っている保険薬局で
      す。」
     「当薬局は、どの保険医療機関の処方せんでも応需します。」

   5.無菌製剤設備の有無
     <掲示例>
     「当薬局は、無菌室(クリーンベンチ)の設備を備え、無菌的な製剤を
      行います。」

   6.消費者からの質問相談に応じる旨
     <掲示例> 
     「ご不明のことはご遠慮なくお聞き下さい。」
     「おくすり・保健・介護、お気軽にご相談下さい。」
     「お薬は、ご相談の上お買い求め下さい。」
     「お薬のことで判らないことはご遠慮なくお申し出下さい。」

(*6) 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第二条の四(掲示)
     保険薬局は、その薬局内の見やすい場所に、別に厚生大臣が定める事項
    を掲示しなければならない。
     注)厚生大臣が定める事項は「保険医療機関及び保険医療養担当規則の
       一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(平成8年3月8日
       付保険発第22号)のとおり
        ア.薬剤服用歴管理指導の実施
        イ.基準調剤加算に関する事項
        ウ.無菌製剤設備の有無
        エ.在宅患者訪問薬剤管理指導業務の届出の有無

(*7) 薬事法第七十七条の三(情報の提供等)
   4 薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医薬品を一般に購入し、又は使用
    する者に対し、 医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供するよう
    努めなければならない。

(*8) 薬剤師法第二十五条の二(情報の提供)
     薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看
    護に当たっている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情
    報を提供しなければならない。  

(*9) 医薬品情報を入手するための書籍の例:
      別紙2参照(省略)

 (その他参考)
 ・保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第八条(調剤の一般的方針)
    保険薬局において健康保険の調剤に従事する保険薬剤師は、保険医等の交
   付した処方せんに基づいて、患者の療養上妥当適切に調剤並びに薬学的管理
   及び指導を行わなければならない。

 ・医療法第一条の二(医療提供の理念)
    医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤
   師、看護婦その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、
   及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、
   単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含
   む良質かつ適切なものでなければならない。

戻る